ペン先が使えなくなった万年筆TWSBI ecoを修理しよう!
記事の内容
- TWSBI ecoを修理に出す
- 万年筆の自己修理 ①形を戻す
- 万年筆の自己修理 ②別のペン軸と差し替える
万年筆はその名前のとおり、1度買うと長年使い続けられる筆記具です。
他のペンと比べると高価ですが、それに見合うだけの書き心地の良さ、さらにはインクが選べたり見た目にもこだわれたりと、魅力が1本にいっぱい詰まっています。
そんな一生物の万年筆、実はペン先が非常にデリケートで、うっかり落としてしまうと場合によっては修理しなくては使えなくなってしまいます。
しかし今回…
先日愛用していた万年筆TWSBI ecoを、キャップを外したままテーブルから落としてしまいました…
ペン先の見た目はほとんど変わっていませんが、線を引くと紙の繊維を傷つけている感覚がします。
修理のためにお問い合わせをしたところ、ペン先の交換になるとのことでした。
折角なので交換する前に、万年筆は素人が自力で修理できないのかを実験してみました!
「万年筆はデリケートなので自己修理は厳禁」とネットでよく見るので、気になって自己修理してみちゃいました。
これから修理を検討する方向けのメーカー修理までの一連の流れと、素人の自力での修理で万年筆は使えるようになるかの検証を紹介します。
ペン先は修理に出すと交換可能
ペン先のみの販売は現在されていない
TWSBI ecoは万年筆を細かく分解できるので、落とした当初は「ペン先のパーツだけ変えればいいのかな」と楽観的だったのですが、どうやらTWSBI ecoは現在ペン先単体での販売はしていないとのことでした。
修理の際もペン先が届くのではなく、万年筆を一度を郵送して交換してもらう流れになりますので、事前に予備でペン先のみを入手しておくことは難しそうです。
修理に出すとペン先を有償交換できる
実際にお問い合わせをしてみたところ、以下のようにお返事をいただきました。
お問い合わせ後のメールのやり取りイメージ1
TWSBI ecoの修理のお見積りをお願いします。
キャップをせずにペンを落としてしまい、文字を書くと紙の繊維をひっかくような感覚がするようになりました。
お問い合わせありがとうございます。
その場合はペン先交換になりますので、価格は以下のお値段になります。
- eco(通常):¥2,200
- eco(ローズゴールド)¥3,960
修理はTWSBIのお問い合わせサイトで依頼し、その後はメールでのやり取りでした。
修理料金の目安
TWSBIのHPによると修理料金は本体価格×40%が代金の目安とのことでした。
今回かかったペン先の修理代
- ペン先交換代 …¥2,200
- 代引き手数料…¥330
- 郵送料(レターパックライト)…¥370
今回の場合は元の本体代¥7,700に対し、修理代は¥2,900でしたので本体価格×37%くらいのお値段での修理でした。
台湾のメーカーなので修理の敷居が大変なのでは…と思っていたのですが、大阪にある㈱酒井さんで修理できるとのことでした。日本国内なので費用も言語面も安心!
修理でペン先を交換する際にサイズ変更はできる?
ペン先交換の依頼と一緒に、サイズ変更が可能かも一緒にお問い合わせしてみました。
お問い合わせ後のメールのやり取りイメージ2
今まではEF(極細字)を使っていたのですが、F(細字)にサイズ変更は可能ですか?
交換時のサイズ変更も併せて承ります。
修理の際にサイズ変更も可能でした。折角なので1段階太いものに変更していただきました。
修理前のペン先を手元に残したい!
お問い合わせ後のメールのやり取りイメージ3
壊れたペン先も一応書ける状態なので、予備で手元に残したいので、可能でしたら返送の際に交換前のペン先を同梱していただきたいです。
承知いたしました。修理が終わりましたら、元のペン先もお戻しいたします。
神対応…✨
元のペン先も返送していただけることになったので、今後万一また落としても前のペン先を使っていけそうです。
実際に修理に出してみた
郵送物の中身
購入時についてきた箱に入れて修理に出しました。
以下の内容物を水没防止で透明な袋に入れて郵送しています。いろいろメールでお願いしていたので、分かりやすいようお手紙をつけて送りました。
下記の内容で郵送するよう、案内がありました。
- 荷物の追跡が可能な方法で郵送する
- 購入時に受け取った保証書があれば同梱する
保証書は、今回は紛失したのでつけませんでした。特に追加費用などもなく、問題なく修理していただきました。
修理後の万年筆
メールで修理完了の連絡があり、万年筆が完全復活して帰ってきました。
- 今回の修理期間は約4週間ほど
- インクを入れたまま&他メーカーのクリップをつける改造をしたまま送ったが、特に変わらず返ってきた
- 交換前のペン先は傷まないよう梱包されて返ってきた
丁寧に対応していただきました!初の修理でしたが大満足でした。
ここからは、「ペン先って本当に自力じゃ修理できないの?」の疑問を解消していきます。
ペン先修理の手順
- ペン先の不具合をチェック
- ペン先の隙間を広げる
- 紙の引っ掛かりをヤスリで削る
以下の方法で修理をしてみました。
STEP1 ペン先の不具合をチェック
今回の場合予想される不具合は以下の2点でした。
- ペン先の隙間が塞がってインクが出てこない
- 先端のかみ合わせがズレで紙に引っかかる
STEP2 ペン先の隙間を広げる
今回は糸通しを2つ隙間に挟んで左右に引っ張りました。
隙間を開けることには成功しましたが、1点に力が集中し、ペン先の溝に凹みができました。
STEP3 紙の引っ掛かりをヤスリで削る
紙に引っかかる箇所はズレが目視できなかったため、違和感がなくなるまで以下の動作を繰り返しました。
- ペン先の向きを変えながら紙に線を引く
- 引っかかった向きのまま、細かいヤスリ(#1200)の上で線を引く
自己修理の結果…
多少傷を残しつつも、落とした直後よりは快適に線を引けるところまで持ち直しました。
体感としては「全然このまま使えないことはないけど、元の書き心地の良さは半減してるから気分的にはイヤ」みたいな直り具合になりました。
次は、TWSBI ecoのペン先を別のメーカーのペン先と交換できないかを実験していきます。
ペン先代用の手順
- ペン先のサイズ・形状をチェック
- 似たペン先の万年筆を探してペン先をゲットする
- 代用したペン先で試運用
STEP1 ペン先のサイズ・形状をチェック
万年筆の種類ごとにペン先のサイズが異なります。
そっくりな形を探すためにサイズをチェックしましょう。
- 大きさ
- 差し込み部分の丸み
- 厚さ
STEP2 似たペン先の万年筆を探してペン先をゲットする
色々購入して見ましたが、予想以上に万年筆ごとに規格が全然異なり、ぴったりサイズのものは見つけられませんでした…。
しかし、ぴったりではないものの、ほとんど誤差のないペン先にたどり着きましたので紹介します。
おすすめはFonte
私が探した中で一番TWSBI ecoのペン先に形状が近かったのは、Fonteの万年筆です。
びっくりするほど安価に楽しめる万年筆で、他にもガラスペンやボールペンなどの種類があります。キャップやインクが別売りで、自由にカスタマイズして使うことができます。
場所によっては文房具店にいかなくても、本屋の文具コーナーでもお取り扱いがあるので、入手も比較的し易いです。(2024年時点)
今回はペン先を分解して使うので、本体のみ購入しておけばOK
結構そっくり
STEP3 代用ペン先を分解して取り出す
万年筆Fonteをパーツごとに分解します。
ペン先を固定するプラスチック部分からペン先を引き抜けなかったため、今半はカッターを使って慎重にペン先を取り出しました。
取り出したペン先はこんな感じです。(右)
TWSBI(左)と比較してもかなり形状は近そうです。
STEP4 代用したペン先で試運用
取り出したペン先をTWSBI ecoの本体に装着し、実際に書いてみましょう。
TWSBIとFonteのペン先は全く同じ形ではないため、若干の不具合があるかもしれないので、実際に書いて確認をしていきます。
Fonteのほうが僅かにペン先の金属が薄く、根本のカーブも緩やかなため、指すと僅かに緩い印象でした。問題なく使用できる範疇で、そこまで違和感なく固定できました。
私が確認した限りでは
- こまめにインクを送る必要がある
- ペン先の角度が合っていないとインクが出てこない
- 隙間ができて若干表面にインクが付着する
など、若干気になる部分はあるものの、気にかければ実用することができました。
以上、自分でペン先を修理した場合と、メーカー修理をした場合を比較してみました。
自己修理も、破損の度合いによっては可能そうでしたが、元の素晴らしい使用感を取り戻したい場合はメーカーでの修理が良さそうです。
最後に、今回修理した私のめちゃめちゃお気に入り万年筆TWSBI ecoを紹介します。
めちゃめちゃにおすすめな万年筆です!
- ペン先がしっかりしていて書きやすい
- 吸入式でインクがいっぱい入る快適さ
- カラーバリエーションが豊富で愛着が湧く
万年筆を壊さないに越したことはないですが、修理の手順を知っていれば、多少のトラブルの際も落ち着いて対応することができます。
あまり構えすぎず、気軽に万年筆ライフを楽しむ一助になれれば幸いです。